Botpressの最近のリリースにおける主な変更点を紹介します。

v12.22.1

コンテントタイプに「file」が追加された

チャットボットの応答内容として「ファイル」を登録できるようになりました。これまでは、画像・音声・動画などのメディアごとのコンテントタイプがありましたが、fileタイプでは任意の形式のファイルを扱えます。特に意図されているのは、チャットボットからの回答に「PDF文書」へのリンクを案内する用途です。対応チャネルは、現時点でWebchatとVonageのみです。

※なお、PDF以外のファイルをアップロードするには、botpress.config.jsonにallowedMimeTypesを追加登録する必要があります。

複数ノードを一度に複製できるようになった

スタジオのフローエディタで、複数のノードを一度に複製できるようになりました。SHIFTキーを押しながらノードをクリックしたり、ドラッグして範囲選択することで、複数ノードを選択できます。その後、コンテキストメニューからコピーしてペーストすることで複製ができます。これによって例えば、大きなフローを小さなフローへ分割する作業が楽に行えるようになると思います。

v12.22.2

Converse APIを非公開にできるようになった

Converse APIは、Botpress上のボットと会話が行えるWeb APIです。このAPIを利用すると、音声認識・音声合成システムなどと連携させるなどして、チャットボットのフロントエンドを独自に作ることが比較的容易に行えます。しかし、このAPIは標準で公開状態にあり、非公開にすることができませんでした。今後、このAPIの有効無効をボットごとに設定することが可能になります。無効にするには、bot.config.jsonでenableUnsecuredEndpointをfalseに設定します。

v12.23.1

環境変数で初期ユーザーが作れるようになった

Botpressでは、初回ログイン時に初期ユーザー(管理者ユーザー)を登録する必要があります。この登録は、これまで必ずWebページ上で行う必要があったため、セットアップを自動化する支障になっていました。今後は、このユーザーのID(メールアドレス)とパスワードを環境変数から与えることで、自動でユーザー登録できるようになりました。例えば、インストール直後で以下のようにbpコマンドを起動すると、起動とともに管理者ユーザーが登録された状態になります。

% BP_ADMIN_EMAIL=admin@example.com BP_ADMIN_PASSWORD=xxxxxxx ./bp

v12.25.0

ボット単位のライブラリ機能が実装された

ライブラリとは、ボットのフックやアクションのコード内でインポート可能なnpmパッケージのことです。これまでフックやアクションのコードからnpmパッケージを利用するには、それらと同一ディレクトリにパッケージのソースコードを置くか、Botpressに内蔵されたパッケージを利用するしか方法がなく、不便でした。ライブラリ機能を利用することで、npmレジストリやGithubにある任意のパッケージを利用できるようになります。

このようなライブラリ機能は従来、ボット間の「共有ライブラリ」として実装されていましたが、今回これがボット別の機能として再実装されました。これにより、ボットをエクスポートしたアーカイブにもライブラリが含まれるようになり、ポータビリティが改善されました。

v12.26.0

「Before Conversation End」フックとフローが追加された

フックとは、Botpressが行う処理の様々なタイミングに「任意の処理を差し込む」ことができる機能を指します。そのような「タイミング」には様々な種類がありますが、今回「Before Conversation End」(会話終了の前)というタイミングが追加されました。これは具体的には「ユーザーに応答するフローの実行が終了する直前」を指します。

Botpressは、「Before Conversation End」に登録されたフックがあると、それらを実行します。そして、フックの実行が終わり次第、会話が終了します。ただし、もしフックの実行の結果、どこかのフローのノードへの遷移が発生すると、その遷移先の実行へと繋がります。つまり、会話は終了しないことになります。

「Before Conversation End」に処理を実行する方法はフックだけではなく、サブフローによる方法もあります。「conversation_end.flow.json」というファイル名のフローが存在すると、Botpressはフックと同様にこのフローの実行を開始します。

Botpress開発者によると、このようなフックやフローが必要とされるユースケースが増えているといいます。どんな使い方ができるか、ぜひ考えてみてください。


Botpressについては、書籍『チャットボットの教科書』で詳しく解説しています。

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